【何の為の研究?】放射線技師が研究をすべき理由【研究しない技師は技師ではない】

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【何の為の研究?】放射線技師が研究をすべき理由【研究しない技師は技師ではない】

先輩にそろそろ研究発表しようか?と言われて面倒くさいなーと思っていますか?

学会発表したいけど、なかなかネタがないなーと思っていますか?

放射線技師は研究をするべきです。

実際には研究をしない技師もたくさんいます。

しかし、私はあえて言います。

研究をしない放射線技師は本当の意味での放射線技師ではない、と。

私は地方の中核病院で働いており、放射線技師の全国学会に毎年1、2回発表を10年ほど続けています。
国際学会にも2回ほど演題が採択された経験があります。

そんな私が常々思うことは、
研究は人を育てる、
ということです。

同じ10年働いたスタッフでも、
研究を精力的に続けていたスタッフと、研究をほとんどやってこなかったスタッフでは、
かなりの差があります。

なんの差かというと、
論理的思考力の差です。
同じ仕事をしていてもこの差は仕事の質に表れます。

研究が論理的思考を育てたからです。

研究は、まず気づきから始まります。

そして、その気づきを仮説という形にふくらませ、

それについて実験、検証します。

結果について深く考え、検討、考察します。

最終的に導き出した答えは臨床にフィードバックされ、
業務を、医療を一歩前進させます。

この思考のプロセスを組み上げる行為は論理的思考を育てます。

放射線技師として必要な能力です。

このページを読めば、
放射線技師が研究を行う必要性、
研究を行うことで生じるメリット、
研究の始め方
がわかるでしょう。

あなたも、小さなことから研究をはじめてみましょう!

放射線技師が研究すべき理由

放射線技師が研究すべき理由は、以下の通りです。

  • 医療機器は常に進化している
  • 放射線検査は患者さんを被ばくさせ、その代わりに画像情報を得ている
  • 業務改善は研究から始まる

医療機器は常に進化しており、例えばCT装置を10年ぶりに買い替えた!となると、
そのCT装置は、はっきり言って前のものとは別物です。

全く違う画像が出るかもしれません。

そうなると、新しい装置のことを詳しく調べ、今までの画像と同じように見えるように調整したり、撮影条件を見直したりする必要があります。

また、機能的にも様々な新技術が搭載されているでしょうから、それが使えるかの検討も必要でしょう。

医療機器が進化していく以上、それを使う側は(特に医療の場合、患者さんの健康に直結するため、)入念に検討した上で使いこなしていく必要があります。

放射線検査では、放射線被ばくの代償に患者さんの画像情報を得ています。

放射線被ばくは少ないほどいいですよね。
じゃあ、なるべく放射線被ばくが少なくできないかどうか研究しましょう、ということです。

研究というと、大層に聞こえるかもしれませんが、
研究はもっと身近です。

例えばこんな。
いつもの通勤は30分かかる、
でも新しい道を見つけた。こっちなら25分でいけた!
本当にこっちの方がいいのか?何回か試してみよう。
時間帯はどうか?
雨の日はどうか?

結果、新しく見つけた道は今までの道より5分早い!

どうでしょうか?

こんなの研究だなんて認識もしなかったでしょうか。

研究は、
気づき(仮説)があって(背景)、
目的があって、
検討して(方法)、
結果を導けば
立派な検討です。

研究についてもっと簡単に、身近に感じてください。

放射線技師が行う研究の内容は

放射線技師が行う研究の内容は様々ですが、
基本的な内容は大別すると以下のようなものです。

  • 機器の(技術、アプリケーションなどの)性能評価
  • 機器の被ばく線量評価
  • 業務プロセス改善の取り組み

そのほか、AI関連の研究もあります。
最近はAIがどの分野でも話題になっていますが、放射線技師の世界でもAI、特に機械学習関連の研究は進んでおり、学会でもよく演題を目にします。

放射線技師が取り扱う機器はいろいろありますが、ほとんどの場合、放射線医療機器です。

放射線医療機器にも色々ありますが、どれも患者さんに放射線被ばくをさせることでその代わりに人体の中身を詳しく知ることができる、というものです。

つまり放射線被ばくはどうしても無くすことが出来ないのです。

しかし、被ばくを無くすことはできなくても可能な限り少なくすることはできます。

一方、一般に放射線被ばくの量が多いほど検査の質(画像の画質)は良くなる傾向にあります。検査の質を落としてしまっては本末転倒ですし、無駄な被ばくを増やしたくはありません。

可能な限り放射線被ばくを少なくしつつ、検査の質は最大限に上げること、が放射線技師の研究の中で最も重要かつ行うべき研究でしょう。

もし放射線技師が研究をしなかったら

放射線技師が研究をしなかったらどうなるでしょうか。

別に研究なんてしなくても検査できるでしょ?と思うかもしれません。

しかし、医療技術は日進月歩。放射線医学も例外ではなく、発展のスピードが非常に早く、常に新しい知識・技術を得るように意識しておかないと、すぐに知識・技術が古いものになってしまいます。
そのため研究を続けることは医療の発展に置いていかれないためにも必要です。

また、常に新しくなっていく放射線機器について深く知るためには、教科書などを読んでも答えはありません。
教科書というのは研究の結果が十分に根拠立てられて、しばらく経ったのちに反映されるからです。
自ら研究していくことでしか最新の技術・知識は身につかないのです。

放射線技師が行う研究は、放射線被ばくを少なくする、検査の質を高める、という目的です。

放射線技師が研究をしなかったら、
検査によっては、もしかしたらすごく無駄な被ばくをしているかもしれませんし、
逆に放射線量が少なすぎて検査の質が下がり、病変を見逃す危険があるかもしれません。

研究をしない放射線技師は新しいことを学んでいかないので、知識・技術が増えていかないので、時代遅れの知識であったり、間違った知識・技術で仕事をすることになりかねません。

間違った技術・知識で行う仕事は、患者さんの生命の危険に繋がりますので、研究をしないことは非常に危険であると言えるでしょう。

研究しない放射線技師は患者さんに危険をもたらす可能性がある、ということです。

研究をしたいあなたへ、簡単なことから始めよう

研究したい!という人でも、研究と聞くとすごく難しそうでとっつきにくいという人は多いかもしれません。中には拒否反応が出る人もいます。
しかし、ここには誤解があります。研究というのは基本的に難しいことではないのです。
研究することは学会発表、論文を書くことであると思っている人が多いですが、
研究することと、学会発表、論文投稿はイコールではありません。

研究とはそもそも「何か新しいことを深く考えたり、詳しく調べること」です。

考えたり、調べたりすること、それ自体が研究なのです。

研究の成果を他の技師にも報告し、互いに見聞を広げるために学会発表や論文投稿を行うわけです。

とはいえ、研究をやったことがないという人には最初の一歩が難しいことはわかります。
そこで、研究するときのポイントをざっくり解説します。

  • 研究のハードルを上げすぎない
  • 人の真似をする
  • とりあえずやってみる

研究のハードルを上げすぎない

研究とは、何かを深く考えたり、調べることです。

つまり、日々の気づき、疑問について深く考えて自分の結論を導き出すこと、それだけで研究として成立するのです。

例えば、勉強会で今まで知らなかった撮影法を学んできた、じゃあ自分で行なってみて新しい撮影法はこれまでと比較してみて良かったかどうか、調べることはそれだけで研究なのです。

人の真似をする

新しいことを考える、なんていってもそんなに急に今まで誰もしたことないようなひらめきなんてないでしょうし、そんな研究をしようなんて無理です。

そこで2つ目のポイントですが、人の真似をする、です。

真似をする、というのはパクるということではありません。

例えば、学会で新しい撮影法の報告があったけど、自分の病院とは違う装置での検討だった。
では、自分の病院の装置でその新しい撮影法を試してみたらどうなるか調べた。

立派な研究です。

基本的に、研究は何か参考になる論文・発表などを元に、自分の環境に落とし込んでオリジナルの別の内容にしていくことが多いです。

とりあえずやってみる

研究する上で最も大事なことは、とにかくやってみることです。

研究って苦手意識あるから無理!
研究って大変だからなかなか始められないよ!

気持ちはわかります。

でもとりあえず始めましょう!
何か論文を探してみる、新しいことを試してみる、そんなスモールステップから全ては始まるのですから!

まとめ

放射線検査は患者さんに放射線被曝を与える代わりに画像情報を得るものです。
なるべく少ない被ばくで最大効率の検査を行うためには、研究が必須です。

放射線被ばく、検査の質、業務プロセスを良くするためには研究を避けることはできないのです。

研究をしない放射線技師は本当の意味での放射線技師ではない、
それは、研究をしないということは常に最新の知識・技術を持っていない、
時代遅れの医療を提供しているかもしれない、ということです。

あなたが患者さんならそんな技師に検査してほしいでしょうか。

大病院でしか研究はできない、なんてそんなことは全くありません。

日々の気づき、疑問をスタートにし、
参考になりそうな論文などを探してみて、
その研究の真似をしてみましょう。

また、そんな堅苦しく考えなくても、
あれ?これって〇〇したらもっと良くなるんじゃね?みたいな
ちょっとした改善を試してみることからも研究は始まります。

すべてのタイミングに研究のチャンスがあるのです。

一緒に研究を楽しみましょう!

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