医療職を目指す人の志望動機の中でも上位にランクインするのが、安定しているから、というもの。
確かに、医療系は昔から公務員の次に安定している職業という医療系神話みたいなものがありました。
社会は刻々と変化し、さまざまな業種が不安定で働き方の変革を求められている時代です。
放射線技師の将来は安泰なのか、将来が不安だ。そんな人も多いかと思います。
解説します。
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病院は潰れないのか
病院が潰れる、なんてことはあってはならない!そう思いませんか?
だって、病院が潰れたら患者さんはどうなるの、そうみなさん考えるでしょう。
でも、病院だって潰れます。経営状態が悪くなれば潰れるしかないのですから。
調査によると、2019年の医療機関の倒産件数は45件。毎年20〜50件程度の倒産件数とされています。(帝国データバンク「医療機関の倒産、過去10年間で最多」より)
特に2019年より世界的な脅威となっている新型コロナウイルスの影響で病院受診者が減っており、世界的にも医療機関の経営状況は最悪の状況です。
医療職はクビにならないのか
医療職が病院をクビになる、あまりよく聞く話ではありませんが、実際に存在はします。
特に小さな診療所やクリニックなどでの方が多いようで、私の主観的なイメージでは大きな医療機関に働いている人ほど解雇になることは少ない印象です。大病院などは入るのも大変ですが、一旦入職すればある程度安定した労働環境にあるといえます。まあ優秀な人が入職するので解雇になりづらいとも取れますが。
古き良き時代
一昔前まで、医療職はイージーモードと言われてきました。
簡単に就職できて、クビにならず、仕事も楽で、給料もいい。
でもそれはだいぶ昔の話になってしまいました。
医療職の現状は、なかなか就職できない、仕事は忙しく、責任も重い、給料はさほどよくもない。というところです。
安定感は健在
看護師の離職率がしばしば問題になりますが、コメディカル(パラメディカル)と呼ばれる医療専門職の離職率はかなり低いです。
逆に、辞めないからこそ採用枠が少なく、欠員の補充という形でしか基本的には求人が出ないため、競争率が高くなり、就職は大変です。
放射線技は就職しづらいものの、クビにはなりづらいと言っていいでしょう。
放射線技師の就職状況
放射線技師は就職活動でわりと苦労します。というか医療専門職はその職もそうなのですが。
放射線技師は医療職の中でもかなり特殊性が高く、検査の質を担保する上では必須の職業である一方、高額である放射線医療機器がないと仕事になりません。必然的にある程度の規模以上の医療機関でないとニーズがなく、定員数も多くありません。
さらに、放射線技師の離職率は低いため、就職では運の要素(希望の医療機関で求人がない年もしばしばある)も含めて苦労があります。
臨床実習生によく、「就職で悩んでます。」「地元の病院が出たらいいんですけど」「ここの病院、今年求人出ますかね?」なんて聞かれます。私は、「悪くないかも、という条件の求人が出たらとりあえず受験しておいた方がいいよ」「県内・県外とかなるべく縛らない方がいいよ」とよく返します。
放射線技師の将来は安泰か
いざ就職できたとして、放射線技師の将来は安泰でしょうか。
ポイントは、世界的なAI化の流れです。
人工知能(AI)の発展により、今ある仕事の半数ほどもなくなる、というのは有名な話です。
しかし、このAIに取って代わられる仕事の中に医療専門職は入ってきません。
だから、医療専門職、放射線技師は将来安泰かというと、実はそんなに安心していられるような状況ではありません。
放射線医療機器においても様々なAI技術の導入が著しく進んでいるからです。
当然のことですよね。特に医療系ではちょっとしたミスも患者さんの命に関わるわけですから、なるべくミスが少なくなるような機械があればもちろん欲しい!そして至る所にAI化が進んでいけば、今まで2人、3人で行っていた作業が1人で済むかもしれない。あるいは人が要らないかもしれない。
そうやって全体で必要な放射線技師の人数が少なくなることは十分に考えられるのです。
どんな放射線技師は安泰か
全体の必要人数が少なくなった場合、放射線技師も技師同士でふるいにかけられ、淘汰されていくかもしれません。そんな時に放射線技師としてどういう人材ならば生き残れるか。
やはり独自性のある技師だと、私は思います。
例えば、AI化が進んだ放射線医療機器を扱わなければならないのだから、AIの知識・技術に優れている。あるいは、他の人に負けないスキルを有している。この人はクビにできない、そう思わせる人材になる必要があります。
どの職業でも一緒ですよね。
まとめ
放射線技師の将来性について簡単に述べました。
ポイントは、
- 病院だって倒産する → 職を失う
- 医療職は就職しづらく、離職しづらい
- AI化の波は医療職、放射線技師にもやってくる
- クビにならないような人材になろう
ということでした。
少しでも参考になれば幸いです。
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