職業として目指すならお給料についてはやっぱり気になるところだよね。
放射線技師のお給料事情について説明するよ!
筆者は地方中核病院(救急病院)でバリバリ働く勤務13年目の現役放射線技師です。
今回は、放射線技師の給料について、
詳細なエビデンスとリアルを語っていきます。
現役バリバリの放射線技師が、放射線技師の給料について解説します!
コンテンツ
放射線技師の仕事とは
放射線技師(診療放射線技師)は、
その高度な専門的知識を活かして、
患者さんの疾患を診断するための画像情報を取得、作成する仕事です。
放射線技師が撮影した画像がないと、診断できないことがほとんどだよ!
実際の業務は、
撮影業務
- レントゲン
- CT
- MRI
- 血管造影
- 透視
- 核医学検査(RI)
- 超音波検査
- 骨密度検査
その他
- 3D処理(CT, MRIなどの画像から3D画像を作成する)
- 医療画像の管理
- 医療スタッフの放射線被ばく管理
など
かなり多くの業務があります。
放射線技師の仕事については、こちらもぜひご覧ください。
放射線技師の年収は?
「放射線技師 年収」と検索するとたくさん情報が出てくるけど、
サイトによって言ってることがバラバラだよ!
本当はどうなの?
実際に「放射線技師 年収」と検索して調べてみたところ、
350万〜700万と、かなり大きなバラツキがあります。
(月収で換算すると約21万〜50万円(賞与4ヶ月としてざっくり計算))
これは、調査方法(調査対象(特に年代)、地域による差)による影響が大きいと思います。
平均年収は基本的には40代を基準に算出されている場合が多いですが、
調査の年代によって金額が変わってきます。
今回は最も信頼性が高い、
人事院と日本放射線技師会の調査データをもとに解説していくよ!
平均月収
年齢 | 20~24 | 24~28 | 28~32 | 32~36 | 36~40 | 40~44 | 44~48 | 48~52 | 52~56 | 56~ | 計 |
万円 | 28.0 | 30.2 | 32.4 | 35.2 | 37.6 | 40.3 | 42.6 | 46.4 | 49.6 | 49.2 | 39.0 |
表1は、人事院が毎年発表している民間の給与の実態をまとめたものです(医療系は2019年度分が最新)。
データからわかるように年代別で月収には差があり、
平均月収、平均年収と言うとまとめられてしまうため、
実際の金額とはかなりちがう(特に20代では低くなる)ことが多いです。
全体の平均値だけで話をすると、
放射線技師の平均月収は月収は39万円(40歳)でした。
年収に換算すると約650万円ほどになります(ざっくり計算)。
最終的な月収は49万円程度となり、
年収換算すると約800万円程度と想定されます。
2021年のデータによれば日本人の平均年収は約430万円ですので(「令和2年分 民間給与実態調査統計(国税庁)」、平均水準以上となっています。
参考:放射線技師は将来安泰か
平均月収の推移
年齢区分 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2018 |
~23 | 24.8 | 25.8 | 28.1 | 22.8 | 24.1 | 25.5 | 23.7 |
24~27 | 28.0 | 29.4 | 29.5 | 27.3 | 26.5 | 27.9 | 33.9 |
28~31 | 30.6 | 31.4 | 32.5 | 31.8 | 32.4 | 30.9 | 31.2 |
32-35 | 32.5 | 33.9 | 35.7 | 34.3 | 35.7 | 34.3 | 28.7 |
36-39 | 37.5 | 36.7 | 36.3 | 34.2 | 35.2 | 37.6 | 36.3 |
40-43 | 42.3 | 41.7 | 40.3 | 41.1 | 39.5 | 39.2 | 39.3 |
44-47 | 44.7 | 44.7 | 44.8 | 44.8 | 44.9 | 44.8 | 42.4 |
48-51 | 50.3 | 47.3 | 49.0 | 49.2 | 47.2 | 49.6 | 46.3 |
52~55 | 51.8 | 50.4 | 48.7 | 49.6 | 50.5 | 52.6 | 46.8 |
56~ | 49.7 | 45.5 | 49.9 | 48.6 | 49.4 | 47.8 | 46.3 |
表2を見るとわかるように、放射線技師の平均月収はここ10年近くほとんど変わっていません。
一方で、年代ごとの平均月収は確実に上がっていますので、
安定した収入を得られる職業です。
給与の内訳
放射線技師の給与の内訳は、
基本給 + 時間外手当(当直・日直手当も含む)+ 放射線取扱手当 + 諸手当(通勤手当など)
です。
放射線技師の収入が平均よりも高い理由は、
・当直があるから
・放射線取扱手当があるから
です。
実際、人事院の報告でも、表1で示した結果のうち、4万円程度は時間外手当です。
当直、日直が多いほど給与にさらに加算されますし、
残業の時間外手当などによっても給与はさらに上がります。
放射線取扱手当は放射線技師特有のもので、
診療目的で放射線の照射をする業務に従事する人に支給されます。
手当の金額については病院によってまちまちで、
私の勤めている病院では支給されません(悲)。
病院の経営形態による放射線技師の年収の違い
経営形態 | 国立 | 公立 | 医療 法人 | 個人 |
年間給与総額 平均(万円) | 687.2 | 622.8 | 580.6 | 446.0 |
(日本放射線技師会)
表3にまとめたように、病院の形態によっても年収に違いが出ます。
国公立病院が最も高い平均年収となりますが、これは公務員であるため、
年功序列で高い昇給があるからです。
実際には公務員の待遇は年々悪くなる一方ですので、今後はどうなるかわかりませんが。
医療法人病院は最も多く存在する病院の形態で、この病院形態で働く方が最も多いと思われます。
個人病院はクリニックがメインになります。年収はかなり低めで、
放射線技師としては扱える検査(機械)が少ないため業務の幅はかなり狭いです。
地域による放射線技師の年収の違い
地域による放射線技師の年収の違いもあります。
大都市ではやはり年収が高い傾向で、東京、神奈川、大阪、愛知の順に飛び出ていて、
一般労働者の給与水準は大都市とそれ以外の地域では50-100万円ほどの差があります(厚生労働省「賃金構造基本調査」2019より)。
放射線技師ではそこまでの差はないようですが、
大都市とそれ以外の地域と比較すると約30−50万円程度高いようです。
今後の展望
放射線技師の年収はここ10年ほど安定しており、今後も急な減少はないと考えられます。
一方で、現在、全国的に働き方が見直されており、
これまでの当直体制が夜勤体制に変わるなどの変化があります。
当直から夜勤への変化とは、例えば、
これまで通常の日勤(8:30-17:00)の後にそのまま当直(17:00-8:30)だったのが、
日勤帯は仕事せず、夜勤(17:00-9:00)になるという変化です。
働き方としては非常にスタッフに優しい変化ではあるのですが、
基本的に夜勤手当というのは、当直手当よりかなり低い金額になります。
例として、
私の病院では当直手当が17000円程度あったものが、
夜勤手当6000円程度に下がりました(3分の1!)
病院にもよりますが、
当直(夜勤)は大体3−4回程度が多いと思いますので、
非常に痛い減収となりました。
実際、私の年収は当直体制→夜勤体制で、
約50万円ほど下がりました(悲劇)。
全国的にも夜勤化の流れですので、
放射線技師の収入はこれから全体的に下がると思われます。
今後は放射線技師も副業が必須となっていくかもしれません。
参考:【放射線技師は副業不可避!】放射線技師が副業に向いている5つの理由
まとめ
放射線技師の給料について詳しくまとめました。
放射線技師の給料 まとめ
- 放射線技師は標準以上の収入を安定して得られるが、大儲けする仕事ではない
- 病院の経営形態、規模によって差がある
- 地方による差がある
- 当直手当が月収の支えとなっているが、夜勤化により減収の方向
以上、参考になれば幸いです。
放射線技師になりたいと思ったら、こちらをぜひ参考にしてください。
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